看護師の離職率は本当に高い?最新データで見る離職理由と長く働くための対策を徹底解説

「看護師は離職率が高い」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。しかし、最新の調査データを確認すると、実態はイメージとは異なる部分もあります。日本看護協会の2025年病院看護実態調査によると、正規雇用看護職員の離職率は11.0%で、前年度の11.3%からさらに改善しました。厚生労働省の雇用動向調査における一般労働者の離職率12.1%と比較しても、看護職員の離職率は全産業平均を下回る水準にあります。

本記事では、看護師の離職率に関する最新データを多角的に分析し、離職の主な理由と、管理者・個人それぞれが取り組める具体的な対策を解説します。訪問看護ステーションや病院の管理者の方にも、スタッフ定着のヒントとしてお役立ていただける内容です。

この記事でわかること

  • 看護師の離職率は全産業平均と比較して本当に高いのかどうか
  • 病院規模・地域・施設種別ごとの離職率の違い
  • 看護師が離職する主な理由と背景にある構造的な課題
  • 管理者と個人の双方が実践できる離職防止の具体策

最新データで見る看護師の離職率の実態

看護師の離職率を正しく理解するには、単年のデータだけでなく推移や他業種との比較が欠かせません。ここでは日本看護協会の調査データを中心に、全体像を整理します。

正規雇用看護師の離職率は11.3%で全産業平均以下

日本看護協会が2024年に公表した病院看護実態調査(2023年度データ)では、正規雇用看護師全体の離職率は11.3%でした。コロナ禍で最も高かった2022年度の11.8%から0.5ポイント低下し、2019年度の11.5%を下回る水準に落ち着いています。

一方、厚生労働省の令和5年雇用動向調査による全産業平均の離職率は12.1%です。看護師の離職率は全産業平均を下回っており、「看護師は離職率が特に高い」という認識は必ずしも正しくありません。

ただし、この数値はあくまで病院に勤務する正規雇用看護師のデータであり、訪問看護ステーションやクリニックなど病院以外の職場は含まれていない点に注意が必要です。

新卒と既卒で大きく異なる離職率の推移

看護師の離職率を読み解くうえで重要なのが、新卒と既卒(中途入職者)の違いです。以下の表は、日本看護協会の調査をもとにした過去5年間の推移をまとめたものです。

年度 全体(正規雇用) 新卒 既卒
2019 11.5% 8.6% 16.4%
2020 10.6% 8.2% 14.9%
2021 11.6% 10.3% 16.8%
2022 11.8% 10.2% 16.6%
2023 11.3% 8.8% 16.1%

新卒の離職率は2021・2022年度に10%を超えましたが、2023年度には8.8%まで改善しました。一方、既卒は一貫して16%前後を推移しており、中途入職者の定着が課題であることがわかります。管理者としては、新卒と既卒それぞれに異なるアプローチで定着支援を行う必要があるでしょう。

病院規模・地域・施設種別で異なる離職率の傾向

看護師の離職率は全国一律ではなく、病院の規模や所在地、設置主体によって大きな差があります。この傾向を把握することで、転職先の選定や自施設の課題の分析に役立てることができます。

病床数が少ないほど高くなる離職率

日本看護協会の調査では、病床数別に見た看護師の離職率に明確な傾向が表れています。99床以下の小規模病院では離職率が12.6%と最も高く、病床数が増えるほど低くなる傾向にあります。

小規模病院は人員に余裕がなく、一人あたりの業務負担が大きくなりやすいことが離職率を押し上げる要因と考えられます。大規模病院では教育体制やキャリアパスが整備されているケースが多く、スタッフの定着につながっていると見られます。

訪問看護ステーションの管理者にとっても、この傾向は示唆に富んでいます。少人数の事業所ほど一人ひとりの負担が大きくなるため、業務の効率化やサポート体制の構築が不可欠です。

都市部と地方で最大7ポイント以上の差

地域別に見ると、離職率が最も低いのは岩手県・山形県の6.8%で、最も高いのは東京都の14.2%です。大阪府(13.7%)、神奈川県(13.6%)も高く、都市部ほど離職率が高い傾向が顕著に表れています。

  • 離職率が高い地域の例:東京都(14.2%)、大阪府(13.7%)、神奈川県(13.6%)
  • 離職率が低い地域の例:岩手県・山形県(6.8%)
  • その差は最大で7.4ポイント

都市部では求人数が多く転職のハードルが低いこと、生活コストが高く待遇への不満が生じやすいことが背景にあります。地方では選択肢が限られる反面、地域密着型の働き方がしやすいという側面もあるでしょう。

設置主体による差

施設の設置主体別では、医療法人が運営する病院の離職率が高い傾向にあります。特に注目すべきは、新卒の離職率で社会保険関係団体が21.9%という突出した数値を記録している点です。一方、国立大学病院などでは全国平均を下回る事例も報告されています。

設置主体によって教育体制や福利厚生、勤務条件が大きく異なるため、就職・転職の際には施設の運営母体まで確認することが重要です。管理者の立場でも、同じ設置主体の施設とベンチマーク比較を行うことで、自施設の課題が明確になります。

看護師が離職を決意する主な理由

看護師の離職率のデータを確認したところで、次に離職の背景にある具体的な理由を見ていきましょう。複数の調査から浮かび上がる主な離職理由は、大きく5つに分類できます。

人手不足による過重労働

看護師の離職理由として最も多く挙げられるのが、勤務環境への不満です。慢性的な人手不足により、夜勤の回数増加や長時間労働が常態化している職場は少なくありません。身体的・精神的な負担が蓄積し、「これ以上は続けられない」と感じるケースが多く見られます。

複数の労働実態調査で、看護職員の多くが「辞めたい」と感じた経験があると回答しており、業務量と待遇のバランスへの不満が広く存在することがうかがえます。訪問看護の現場でも、移動時間を含めた実質的な拘束時間の長さやオンコール対応の負担は、離職の引き金になりやすい要素です。

職場の人間関係とライフイベントの影響

人間関係のストレスも離職理由の上位に位置しています。医師や先輩看護師との関係、チーム内のコミュニケーション不全など、閉鎖的な環境ゆえの摩擦が生じやすいのが医療現場の特徴です。

また、結婚・出産といったライフイベントをきっかけに離職するケースも依然として多く見られます。夜勤を含むシフト勤務と育児の両立が難しいことが主な理由です。神奈川県の調査では、入職3年目以降の離職が目立つという結果も出ており、業務に慣れた時期に将来のキャリアやライフプランを見直す傾向があると考えられます。

  • 職場内の人間関係のストレス(上司・同僚・多職種間)
  • 結婚・出産・育児との両立困難
  • 夜勤を含むシフト勤務への限界
  • 3年目以降のキャリアの見直し時期

資格職ゆえの転職のしやすさ

看護師免許は全国どこでも通用する国家資格です。そのため、他の職種と比べて転職のハードルが低いという特徴があります。「より良い条件の職場が見つかれば移る」という選択肢が常に存在するため、待遇やスキルアップ環境に不満があれば離職につながりやすいのです。

キャリアアップを目指して専門分野を変えたり、病院から訪問看護や企業看護師へ活躍の場を広げたりするケースも増えています。こうした前向きな離職はネガティブなものとは異なりますが、送り出す側の施設にとっては人材流出であることに変わりありません。

管理者が実践すべき看護師の離職防止策

看護師の離職を防ぐためには、個人の努力だけでなく、組織としての仕組みづくりが不可欠です。ここでは、管理者が取り組める具体的な対策を紹介します。

教育・研修体制の整備

離職防止に最も効果的な施策のひとつが、教育・研修体制の充実です。新卒看護師には段階的なプリセプター制度や定期的な振り返り面談を設け、既卒の中途入職者にはオリエンテーションの充実と早期のフォローアップが有効です。

研修機会の不足はスタッフの成長実感を損ない、モチベーション低下から離職につながるリスクを高めます。特に訪問看護ステーションのように少人数で運営する事業所では、外部研修や集合研修に参加する時間の確保が難しいという課題があります。

eラーニングサービス「はぐくも」では、リハ職向け2,200本以上をはじめ、ケア職向け740本以上、ナース職向け620本以上の動画コンテンツを用意しており、1本15〜30分で倍速再生にも対応しているため、日々の業務の合間にスキルアップが可能です。 研修の準備は「動画選択→対象スタッフ選択→期間選択」の3ステップで完了し、案内やリマインドも自動化されるため、管理者の業務負担を大幅に軽減できます。

業務効率化とワークライフバランスの実現

過重労働が離職の大きな要因である以上、業務量の適正化は避けて通れないテーマです。タスクシフティングやICTツールの活用による記録業務の効率化、勤務シフトの柔軟な運用など、できることから着手することが大切です。

対策カテゴリ 具体的な取り組み例 期待される効果
業務効率化 ICT活用による記録時間の短縮 残業時間の削減
勤務体制の見直し 短時間正社員制度の導入 育児・介護との両立支援
研修の効率化 eラーニングの導入(集合研修の代替) 研修準備・参加の時間的負担軽減
メンタルヘルス対策 定期的な1on1面談の実施 早期の悩みの把握と離職予防

はぐくも」を活用すれば、法定研修や新人研修の準備・管理にかかる工数を削減でき、管理者自身の業務負担も軽くなります。さらに人材開発支援助成金の「定額制訓練」対象であるため、研修費用の最大60%が支給される可能性もあり、コスト面のハードルも下がります。

キャリアパスの明確化

「この職場にいても成長できない」という感覚は、転職を考える大きなきっかけになります。管理者としては、スタッフ一人ひとりのキャリア目標を把握し、それに応じた役割付与や研修機会の提供を行うことが重要です。

定期的なキャリア面談を通じて、スタッフが描く将来像と組織が提供できる成長機会を擦り合わせることで、離職を未然に防ぐことができます。

はぐくも」には、管理者が複数の動画を組み合わせてオリジナル研修コースを作成できるカスタム研修機能があります。スタッフのキャリアステージに合わせた段階的な研修プログラムを設計できるため、「この事業所で成長できる」という実感を持ってもらいやすくなるでしょう。研修リクエスト機能を活用すれば、スタッフ自身が学びたいテーマを発信でき、主体的な学習文化の醸成にもつながります。

個人で実践できる長く働くための対策

管理者側の取り組みだけでなく、看護師個人としても離職を防ぎ、長くやりがいを持って働くためにできることがあります。ここでは、自分自身でコントロールできる対策をまとめます。

ミスマッチを防ぐ職場選び

離職を防ぐ最初のステップは、自分に合った職場を選ぶことです。前述のとおり、病院の規模や地域、設置主体によって離職率は大きく異なります。転職や就職の際には、以下のポイントを確認しましょう。

  • 教育・研修体制が整っているか(特に中途入職者向けのフォロー体制)
  • 夜勤回数やオンコールの頻度など具体的な勤務条件
  • 産休・育休の取得実績や復帰後の勤務形態の柔軟性
  • 離職率の実績を公開しているかどうか

「離職率が低い=良い職場」とは限りませんが、スタッフの定着に力を入れている施設は、教育体制や福利厚生が充実していることが多い傾向にあります。面接時には、新人教育の内容やキャリアアップの仕組みについて具体的に質問することをおすすめします。

継続的なスキルアップでモチベーションを維持

看護師として長く働き続けるためには、日々の業務に追われるだけでなく、自分自身の専門性を高める取り組みが欠かせません。新しい知識や技術を身につけることで、業務への自信ややりがいが生まれ、離職の予防につながります。

忙しい日々の中で学習時間を確保するには、eラーニングの活用が効果的です。「はぐくも」では、スマートフォンアプリでの動画視聴やオフライン再生に対応しているため、通勤時間や休憩時間を活用した学びが可能です。400名以上の多職種の講師が登壇するコンテンツは毎月20本以上追加されるため、最新の知見に常にアクセスできる環境が整っています。

「今の職場で成長できている」という実感は、離職を踏みとどまる最も強い動機のひとつです。組織が提供する研修に加え、自分から学ぶ姿勢を持つことが、結果的にキャリアの選択肢を広げることにもなります。

よくある質問

看護師の離職率は他の医療職と比べて高いですか?

日本看護協会の2023年度データでは正規雇用看護師の離職率は11.3%で、厚生労働省調査による全産業平均の12.1%を下回っています。「看護師だから離職率が高い」とは一概に言えませんが、既卒(中途入職者)に限ると16.1%と高い水準にあるため、採用区分によって状況は異なります。

訪問看護ステーションの離職率は病院より高いですか?

日本看護協会の病院看護実態調査は主に病院勤務の看護師を対象としており、訪問看護ステーション単独の離職率は別途確認が必要です。ただし、小規模事業所ほど離職率が高くなる傾向があるため、少人数で運営する訪問看護ステーションでは定着支援の仕組みがより重要になると考えられます。

看護師の離職防止に研修制度は効果がありますか?

教育・研修体制の充実は離職防止に有効です。特に新卒看護師の離職率は、研修体制が整備されている大規模病院ほど低い傾向があります。eラーニングを活用すれば時間や場所を選ばず学習でき、管理者の研修準備の負担も軽減されるため、少人数の事業所でも取り組みやすい手段といえます。

看護師の離職率を正しく理解し定着につなげるために

看護師の離職率は11.3%で全産業平均を下回っており、「看護師は離職率が極めて高い」というイメージは必ずしも実態に合っていません。しかし、既卒の16.1%という数値や都市部・小規模病院における高い離職率を考えると、職場環境や条件によっては深刻な課題であることも事実です。

離職を防ぐためには、管理者による教育体制の整備や業務効率化、キャリアパスの明確化が求められます。同時に、看護師個人としても職場選びの段階からミスマッチを防ぎ、継続的なスキルアップに取り組むことが大切です。「はぐくも」では、1ヶ月間の完全無料フリートライアルをご用意しています。アカウント数無制限で全機能をお試しいただけますので、スタッフの教育体制を見直したい管理者の方はぜひご活用ください。

この記事のまとめ

  • 看護師の離職率は11.3%で全産業平均の12.1%を下回るが、既卒や都市部では依然高い水準にある
  • 離職の主な理由は過重労働・人間関係・ライフイベント・キャリア志向の4つに集約される
  • 管理者は教育研修体制の整備と業務効率化を組織的に推進し、スタッフの定着を図ることが重要
  • はぐくも」の無料フリートライアルでeラーニングと研修管理の自動化を体験し、自施設の定着支援に活かしてみる